二回目伊坂作品。
あらすじ>>
《兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。
連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは──。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。(引用)》
ネタバレしない程度の感想。
「家族」の話。
内容は全くやさしいものではない。
でも その重苦しいさよりも温かさが伝わってくるから不思議。
とにかく素敵な“父さん”、強い“母さん”、完全無欠に見える“春”もさることながら それを見る泉水の目が愛に溢れている。
彼は父や弟に比べ自身の無力さを感じていたけれど、
あの家族に一番必要とされている存在は他ならぬ彼だったんじゃないかな。
私が伊坂作品が好きな理由の一つは、いわゆる“普通”の主人公は、フツーであって「大衆」でない。ってこと。
彼らは一見よくいる一般人に見えるけれど、一番大切で一番難しいことを簡単にやってのけてしまう。
それって実は一番すごい能力で、なのに彼らはウジウジしてて面白い。
キーワードは遺伝子。
断ち切れない血の連鎖への期待や不安。
正しい答えは出ていないのかも知れないけれど。
ラストに父が行った言葉が彼等にとっての答えなのは確かだと思った。
面白いところもたくさんあって、それぞれの会話や個性的な登場人物も素敵。黒澤も登場♪
『オーデュボン…』の伊藤もちょっと出ていて、その場面が印象的。
私にとって、運命が決まっている事はすごく嫌なことだとだと思っていたのだけど、神様のレシピはちょっと違う。
その考え方も魅力のひとつ。
春の絵もみてみたい。
映画化決まってますが、どうなるのか。。。
勝手な配役希望なら(笑)春役は(ビジュアルのみ。よく知らないから。)水嶋ヒロさんとか。
一人っ子の私にとって、兄弟が羨ましくなる一冊。
- 2008/02/28(木) 14:56:27|
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伊坂幸太郎デビュー作。
あたしが初めて読んだ伊坂本。
正解だと思う。
とにかく作品間のリンクや共通点があるから、この本を最初に読むとそれからの本も何倍も楽しめる。
あらすじは
《コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている“荻島”には妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。無惨にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?(引用)》
ネタバレしない程度の感想。
まず、全部がありえない。でもただのフィクション、ファンタジーとはちょっと違う。
魔法も奇跡も起こらない。でも現実味がない。
その中でものすごい伏線が絡み合って、それが解けた時、奇跡じゃない“奇跡”に驚かされる。
それに、最近の『死神の精度』や『ゴールデンスランバー』ももちろん面白いのだけど、
『オーデュボン…』はデビュー作だけに(これがデビューなことも驚きだけど)ストレートに言いたい事が鋭く書いてあり良い意味でドスンとくる。
会話はコミカルなので重すぎないし読後感が清清しい。
そして映像が綺麗。
もちろん小説なので目に見える画なんてないけれども。文章から表れる景色が素敵。
それこそ映画にしたら素敵。(頭の中で広がるからいいのかも知れないけれど)
伊藤は伊坂さんしかいないと思いますが。
日比野にピッタリな人いないなーと勝手に思っていましたが、最近上地雄輔さんがピッタリだと思います。ひたすら勝手です。
また、伊坂氏は音楽にもすごくこだわっていて、音楽に全く詳しくない私でもドキドキ。
小説自体が音楽のようで心地良い感じ。
目でも耳でも楽しめる物語。
***
「ジャングルを這う蟻よりも価値のある人間は、何人だ」
「わからない」
「ゼロだ」
目を反らさない人間が負けない世界があってもいいなって思うのだ。
“神様のレシピ”が100年前と今を、ファンタジィと私を結んでくれる小説です。
- 2008/02/28(木) 14:50:47|
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B計画。彼と彼女。
完全な続編だと感じた。
だけどそれだけじゃなくて。
ひとつひとつの話がそれぞれに示唆しているものがあって。
その時の想いとか行動とかは本筋を越えて伝わってくるものがある。
しのぶとゆり、たろうとぼたんが交差して交わされる言葉、そして駐在や森脇の想いに胸がしめつけられる。
あらすじを書くとB彼に触れずにはいられないしとても長くなるので省略。
だからここからは私の偏見で。
村に一人の男がやってきてはじまる物語。
確かに彼らはいて。
彼。しのぶ。そして宇野。彼は精子が少なくて子供が出来ない。
自分の計画の唯一の欠点。
しかしこれだけでなかったのでないか。
太郎。救われない人生。何もない人生。ぼたんへの後悔。彼も計画をつくる、、、少年。
駐在。"忘れたい"過去。太郎を自分に重ねる男。むしろ駐在は「太郎自身」なんじゃないか。
ぼたん。火事まで無視されたきれーな人。三歳。ユリを思い遣る。火事から"現れた"こども。
そして、『宇宙人』。画家。
ぼたんは太郎を先生と言う。狂っていたからだけか?真実が見えているのはどっちだ。太郎は絵が上手い。
虚構の箱を作ったのは誰だ?
森脇のぼたん、太郎、そして、“大人”の駐在への発言。
『“こども”に嫌われるな、俺は』
駐在は太郎で太郎はぼたんで駐在もぼたん。森脇を嫌う“存在”。
太郎が作る宗教サイト。駐在はそれを止めたかった。彼が自分になるから。自分を消したいからか。
世界につながる箱の世界は『彼』が作っていた自作自演の世界ではなかったか。そしてこれこそ現実の世界で。
本題。
彼は計画を立てないと生きていけなかった。彼の過去は太郎の過去で駐在の過去でぼたんの過去で、それは【B彼】の教徒の過去で、自分の中だけのものに出来ない程に。
でも彼女に会えた。魔法の言葉があった。
なのに。
彼女との子供は出来なかった。計画をする彼を彼女は受け入れなかった。
だからついに宇宙人が生まれた。(B彼の時セミナーで見えない宇宙人の席に何気無く座ったのは宇野)二重の世界がここで始まった。
村人は彼の中の住人。
後悔や辛さや滑稽なまでの茶番は彼自身の想い。
その中にいる、しのぶ。それこそが、ホントウの彼。
・【B彼】で彼はセンターに火を付けていた。
・【B彼】のラスト。あれはいつだったの、か。予兆ではなかったか。
彼は彼自身の闇を見つけたけれど、結局彼は彼のままで。
彼女は彼の中に入りたくて堪らなくて、また、出て行きたくて仕方なかった。
そこで生まれたぼたん。ぼたんは彼の「意識」と後悔と彼女への愛。忘れたくて忘れられなくて狂うことにした彼であって彼女であるもの。
彼女。ユリ。
彼が自作自演した彼の世界に彼女だけは、居た。彼女はずっと彼の前に居た。
『いっそのことあたしをあなたの中に入れてください。』でもあたしはあなたの一部じゃなかったから寂しかった。
だから、『インターネットの寂しい宇宙人に会いに行った』んです。
自分の中の後悔。自分の内の汚れたいやしい思い。でも彼が好きで、いっそのこと「彼の中に入ってしまいたかった」
"彼の狂気の世界に自分も入ったんです。"
【B彼】ではとうとう会えなかったのでないか?
火事で自分もまた、"見ない"ようにした。だけど再びホントウの彼は"現れて"くれた。「記憶」をなくして。村人しかいなくなった彼の頭からまた現れてくれた。
いっそこの世界で目の綺麗な彼と生きていたかった。偽りで狂った世界で自分も彼を愛したかった。
でも彼女は現実世界で彼と出会った時のセリフが忘れられなかった。計画が彼女を苦しめてもホントウの彼を愛したかった。
だから、掘らせた。彼がなくしたもの全部。迷いながら。全部を失ってしまう不安と覚えているだろう期待に迷いながら。
迷いの方が強かったとき。だけどぼたんが現れた。自分がいない方が彼女が幸せだ。彼女を愛してるぼたん=『彼』が、居た。
そして、森脇。
彼は医者か?
彼らを救いたい医者。茶番の中に飛び込みながら、真実を探す医者。
結局最後は諦めたのか?それはわからないけど。
でも、『彼』は言う。隣に居たんだって。
太郎に降り注ぐ雪。すべてが回り始める。無視をして救いたくてどうしようもない気持ちが溢れて、消えた。
ぼたんがいたこと、太郎がいたこと、駐在がいたことには全て意味がある。
ぼたんは苦しんで消えたとは思わない。太郎も駐在も全てに意味があった。
ラストシーン。
彼女には見える雪。ぼたん。
彼女が望むものはほんの小さなこと。あいまいだけど確かなかけがえのないもの。
あれは可能性のひとつなのだと思う。あの時点で「ぼたん」がいることは不幸の予兆にも感じる。
だけど。
見ていれば、聞いていれば、その"ぼたん"雪を憶えていればいくつの未来にも繋がる「可能性」。
だって、どうなったとしても何があったとしても、彼は彼女を見つけるのだから。
幸せはどのようにでも繋がっていくから。
- 2007/06/22(金) 00:11:07|
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観劇感想(追加予定)
彼の中の物語。だと私は思った。
生み出してしまった宇宙人は果たして「彼女」のものなのか。それとも、、、?
B彼はニ重の物語だと思う。
「彼ら」は確かに“居た”。
現実に通じる現状。弱くて儚くて脆くて現実から目をそらして偽りの優しさで自分を守って酔うしか出来ない彼ら。決して救われたわけじゃないことが悲しかった。最低も与えられないで、ただ生きてく彼ら。
でもあんなにあったかいのは彼らが生きてるからだ。
ただの悲惨な話じゃない。切ないけど必死に生きる彼らが確かに居た。
そして、彼と彼女の物語。
彼の「中」の住人。宇宙人のおかしな行動は誰のものだったか。過去を思い出させるような描写。ちらつく狂気は誰のか。
『宇宙人の席』に座る彼。
だけど、彼女はいて。
わたしはあなたの中に入りたいから。
だけど一部じゃないから寂しかった。
だからインターネットの寂しい宇宙人に会った。
やっぱり彼女は彼の中に入っていったのだと思うのだ。どうしても。
宇宙人は誰だったのか。彼女の目には何が見えていたのか。
「彼女」で明らかになること。画家。でもそれは。
茶番か?違う。絶対違う。
『宇宙人の席』に座る彼。彼女が見えたら良い。
彼と彼女と、医者。
大切なことがあればいい とすごく思った。
- 2007/02/27(火) 21:26:58|
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